肝
生理機能
病理変化
1.疏泄を司る 1.気機の調節 全身の気はスムーズにゆく 2.脾胃の運化機能の促進 3.胆汁の分泌、排泄調節 4.情志の調節
1.肝気鬱結:胸脇、両乳、少腹部 に脹痛、生理不順・生理痛。 肝気上逆:頭目脹痛、顔目赤紅、出血など 2. 肝気犯胃:胃腹部の脹満、 疼痛、嘔吐など 3. 異常とき:口が苦い、消化不良、黄疸 4. 肝気鬱結されやすい 怒りやすい
2.蔵血を司る 血液を貯蔵する
血量を調節する
肝血不足: 1.目 : 目を養えなくなり、 のぼせ、乾燥感、夜盲 2.筋 : 筋を養えなくなり、筋脈の拘急、 肢体のしびれ、屈伸できない 3.爪 : 爪も軟らかくうすくなり、もろくわれやすい 4.女性: 生理不順、生理痛、不妊など
疏とは: 疏通(流れ)の事で、心理的、情緒的の開放及び物質の代謝、分解、解毒などの作用と いう意味を含みます。 泄とは: 発散の事で処理、分解、排泄という意味を含みます。 肝の疏泄機能は“肝気”といい、次の4つの機能があります。 a 気機の調節:気機とは、気の昇降出入の運動のことで臓腑・経絡・器官などの活動はすべて 気の運動に頼っています。 気の昇降出入は肝の疏泄・条達に頼っているので、肝の疏泄機能(“肝気”とも 呼んでいる)が正常であれば、気機はスムーズにゆきます。 異常になると肝気鬱結と肝気上逆という2つ病理変化が起こります。 b 脾胃の運化機能(消化、運送)の促進: 肝は消化機能と関係があり、肝の疏泄は脾・胃の消化を助け、栄養物質を全身 に送る作用を助けます。 c 胆汁の分泌、排泄調節: 胆汁は肝から分泌されたもので、疏泄機能は直接胆汁の分泌、排泄に影響し ます。 d 情志の調節:肝の疏泄機能には精神的な刺激あるいは心理的・情緒的な影響も加味され ます。情志を調節することは、実際には気機を調節することにあります。 肝の疏泄機能が失調すると、肝気鬱結されやすくなります。 現代医学では精神的刺激及び心理的影響は一種のストレスと認識し、その発症の原因は下記の流れの通りです。 大脳皮質 ⇒ 視床下部 ⇒ 下垂体ホルモンの分泌 ⇒ 消化器系の異常
「肝は蔵血を司る」:血液を貯蔵し、血量を調節する肝の生理機能を指します。 肝の代謝を経た栄養物に富んだ血液を、中医学では“肝血”あるいは“肝陰”と呼んでいます。例えば、肝血不足になると、目を養えなくなったり、のぼせ、目の乾燥感、夜盲を生じ、筋を養えなくなり、筋脈の拘急、肢体のしびれ、屈伸不利などが現れます。また女性の月経とも関係しています。
肝の経脈は目系に連絡し、そして視力は肝血の滋養に依存しています。このことから、肝は目に開竅するといわれています。
3.肝と筋(すじ、腱のこと)、筋と運動の 密接な関係がある:
筋とは筋膜のことで、骨に付着し関節に集まります。これは関節、筋肉をつなぐ組織の一種です。肝が筋を司るとは、筋膜が肝血の滋養を受けていることをいいます。
4.肝と胆は臓腑表裏関係があります。
次回は脾の生理機能をご紹介します。
上海中医薬大学附属 日本関西校 客員講師 医学博士 曹 華美 (==@) 中国大連市出身。 遼寧中医薬大学卒業後、大連市中心病院中医科で 15年以上勤務した後、訪問研究員として日本札幌医科大学へ。 長年の医療活動と東洋医学教育領域での経験を活かし、 現在中医学講師として活躍中。
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