
陰陽学説の基本
◎ 陰陽の対立と統制関係:
陰陽対立とは自然界の一切の事物と現象には、いずれも相互に対立する二つの面が
存在していることをさしているのです。例えば、上と下、左と右、天と地、動と静、出と入、
寒と熱、昇と降などがあり、いずれも互いに対立する属性をもっています。
陰陽統制とは、おさめること。陰陽のどちらも他の一方を牽制し統制する作用と力をもち、
相手と自身とを常に動態的バランスの取れた状態にしているということです。
◎ 陰陽の依存関係:(陰陽は互いに依存し利用しあう関係があることをいう)
陰陽の相互依存とは、陰と陽はそれぞれ単独で存在することはできず、相手の存在を
自身の存在のよりどころとしています。例えば上は陽、下は陰に属すが上がなければ、
下もありえません。陰がなければ陽もなく、陽がなければ陰もないのです。
◎ 陰陽の消長と転化関係
消長とは衰えると盛んになること。
陰陽の両方がたえず「陰消陽長」或いは「陽消陰長」と言う運動変化の状態にあるということです。
陰陽の消長は、数量上の変化を指すことが多い。
例えば、自然界における四季の気候変化は、冬至から春にかけて、気候は寒冷から
暖へ移っていく(これは陰消陽長の過程)。
生命活動の過程において各種の機能活動(陽)の営みのなかで、かならず一定の
栄養物質(陰)を消耗しなければなりません。これが「陽長陰消」過程です。しかし、
各種の栄養物が新陳代謝するには、また必ず一定のエネルギー(陽)を消耗しなければ
なりません。これも「陰長陽消」過程です。
「陰陽消長」がなければ、陰陽の相対的な平衡は破れ、陰、或いは陽の偏盛偏衰になり、
陰陽消長の失調が起こります。人体に対して言うと、『病理状態を呈す』になります。
転化とは移り変わることです。陰陽双方の消長運動が一定のレベルに発展し、つまり陰は
転化して陽となり、陽も転化して陰になる。冬至から、気候は寒冷から暖へ移っていく、
真夏になると寒い空気がなくなって、熱い空気が盛んでいると、これは陰気が陽気に
移り変わる転化過程(質の変化過程)ということです。
次回は、中医学における陰陽学説の応用を紹介します。
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