●肺の主な生理機能●
肺は体の機能の中では重要な役割をしています。 ”肺者、相傅の官である。”と言われ、君主すなわち《心》を補佐する 宰相の役割を《肺》が担っているという意味で、 臓腑の活動において心肺機能の協調は非常に重要だという事です。
肺
生理機能
病理変化
1.気を司り、呼吸を司る a.全身の気を司る (気の生成と調節) b.呼吸の気を調節する (気体の交換)
1.気短(息切れ)、声が低い、無力 2.せき、ぜんそく、呼吸しにくい
2.宣発と粛降を司る 宣発: a.気体交換、濁気を排泄 b.衛気や津液を宣発し、 毛穴開閉を調節 粛降: a.清気を吸入する b.肺の清潔状を保つ c.水液を下に運行する
宣発失調: 1.胸満、咳喘、鼻つまり、くしゃみ 2.無汗、皮膚乾燥 粛降失調: 1.呼吸が急迫し 2.呼吸が浅い、咳痰、喀血 3. 小便不利
3.水道を通調する 宣発粛降作用により水液の輸送、 排泄の調節
血便、血尿、 皮膚出血などの出血症
4.百脈が肺で集まる 全身経脈は肺に集まる 肺は呼吸の調節、気の調節、 血液循行と津液の輸送の調節する
肺には「一身の気を司る」と「呼吸の気を司る」という二つの作用があります。
1. “宗気”の生成と関連。 2. 肺は全身気機の昇降出入の作用を受け持ち、調節する作用。
「宣発」とは 広く発散し、行き渡らせることです。 「粛降」には 清浄・清潔・下降の意味があります。 肺は五臓六腑の上部の胸に位置し、その気は清らかで下降する正常な状態とする。 肺の形態は「虚なること蜂巣のよう」といわれるように軽く清浄で柔らかく、弾力性がある。 肺気が下に通降し、呼吸道の清気を保持する作用の事をいう。
宣発作用:3つの作用があります。 1.肺の気化作用により、体内の濁気を排出する。 2.脾により転輸される津液と水穀の精微を全身に運び、皮毛にまで到達させる。 3.衛気と津液を宣発し、毛穴の開閉を調節する。
粛降作用:3つの作用があります。 1.自然界の清気を吸入する。 2.異物をとりのぞき、肺の清潔な状態を保持する。 3.肺には自ら吸入した清気と、脾から伝輸された水穀物の精微を下に運ぶ作用がある。
通は疏通(通す)、調は調節の意味です。 水道とは水液を運び・排泄する通路のことです。 肺の宣発と粛降機能は、体内での水液の輸送・排泄を疎通、調節していて、その作用には 汗と尿液の調節があります。
朝には集合という意味があり、全身の経脈は肺に集まります。 (血液の運行は肺気の輸送と調節に依存すると考えられる為)。 治節には、管理・調節の意味がある。 この肺の治節作用には、つぎの4つの内容があります。 1.呼吸の調節 2.気の昇降出入を調節 3.血液運行推動・調節 4.津液の輸布、運行と排泄を管理調節する。
肺は鼻に開竅し、肺と喉が呼吸の門戸です。鼻の臭覚や喉の発声は肺気の作用に頼っています。
3.「肺は皮毛を主る」:
皮毛は皮膚、汗腺、毛穴などの組織を含み、一身の表となって、外邪の侵入を防ぐ作用をもっている。肺は気を司り、衛気を宣発して、精を皮毛に運ぶ機能がある。
4. 肺と大腸は表裏関係があります。
次回は腎の生理機能をご紹介します。
上海中医薬大学附属 日本関西校 客員講師 医学博士 曹 華美 (==@) 中国大連市出身。 遼寧中医薬大学卒業後、大連市中心病院中医科で 15年以上勤務した後、訪問研究員として日本札幌医科大学へ。 長年の医療活動と東洋医学教育領域での経験を活かし、 現在中医学講師として活躍中。
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